日間賀島風雲記

その弐

いわゆる青春鈍行旅行。

みんなでのんびり行こうじゃないかと。
俺の調べてきた乗り継ぎ時間表は旅が始まる前からその力を失っている。

適当に電車に乗る。何処行きかも確認していない。
このホームなら方向はあってるはずだ。

あいや、しまった。
5人旅行では全員が同じ席に座ることは出来ない。
仕方ない、3人と2人に別れて座ろう。
こういうときは自然とばらけるから不思議だ。

あら〜、あんたら息子と同い年やわ 1人の女性が4人席に座っておられた。
「ここよろしいですか?」

3人が座るや否や、53枚のカードが取り出される。
持てる全ての知力を振り絞り、
悪代官と飢餓に苦しむ貧民の下克上ストーリーが行われ、
女性に迷惑をかけたのは言うまでもない。
というか、乗ってる人全員に。
平日の朝から電車で「大富豪」をする
大の男を見れば不愉快極まりない。

ちなみに話し掛けてみると非常に気さくな人で
一緒に大富豪をしようかと思ったが次の駅で降りていかれた。
お元気だろうか?

「終点〜〜、野洲、野洲」

全員が驚いた。
終点?
我々の目的地はもっと先だ。
しかも、コレはまさか湖西線?
方向を間違ったかというという不安に一瞬かられ
あたふたするが、どうやら方向はあっている。
湖西線と東海道本線、紙一重だった。
無駄に騒ぐテンション高めな俺たちを
凍てつく寒さの中、周りの人たちは不審そうに
見ないように見ていた。

少し乗り継げばまもなく(嘘)愛知・金山だ。


戻る